恋愛境界線
scene.18◆ 誤魔化すのも、とぼけるのもナシで
―――――――……
――――――……


『芹沢君、起きなさい。君は、一体いつまで寝ているんだ?』


あれ?若宮課長……?


どうして、若宮課長がここにいるんだろう?


微睡(まどろ)みの中、ぼんやりとした意識の底で考える。


だけど、半分しか覚醒していない所為か、考えようとしても頭が回らない。


もう何だっていいや。


いい加減、私のことはほっといて下さい。


そう言いたいのに、なぜか声にならない。


声にならないのは、本心では言葉にしたくないからなのかもしれない。


そんな風に感じる自分に絶望しそうになった瞬間、優しい声が私の鼓膜を震わせた。


「──遥、起きて。もうお昼だよ」



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