恋愛境界線
友人の声に薄っすらと目を開ければ、カーテンから差し込む眩しい陽の光が真っ先に視界に飛び込んできた。
眩しさに布団を頭まで被った後、目元の辺りまでもぞもぞと顔を出す。
「……純ちゃん、おはよー」
「ご飯作ったから、一緒に食べよう?」
「うん。有難う」と答えると、純ちゃんは私の着替えを置いて部屋から出て行った。
一人になった途端、若宮課長に起こされたのは夢だったことに泣きそうになる。
だけど、涙は出てこない。
昨日あれだけ泣いたんだから、それも当然かもしれない。
『──純ちゃん、たすけて。どうすればいいのか、わかんないよ……っ』
渚を振り切った後、純ちゃんのマンションまで涙を堪えて必死に走った。
純ちゃんがドアを開けて出迎えてくれたその瞬間、それまで張りつめていた糸が切れてしまい、堪えていたはずの涙は、次から次へととめどなく溢れた。