恋愛境界線
「……それならさ、渚はどうかな?」
純ちゃんが、オムレツの端をスプーンで崩しながら、しんとした空間にそっと言葉を落とした。
「えっ?どうかなって、何が?」
「今度は渚を好きになったら?っていう意味」
ホットサンドを喉に詰まらせそうになって、慌ててカフェオレに手を伸ばす。
「純ちゃんってば、何?どうして、急にそんなことを言い出すの?」
「急じゃないよ。私は、以前からずっとそうなればいいなぁって思ってたよ」
「でも、純ちゃんだって、渚のことが好きだったでしょう……?」
そりゃあ、今は渚に恋愛感情なんてないだろうけど、それにしても、だ。
純ちゃんはオムレツを嚥下させると、「だからだよ」と答えた。
「渚も好きだし、遥も好きだから、好きな二人がくっついてくれたら、私はすごく嬉しい」