恋愛境界線
純ちゃんの所でご飯をご馳走になった後、渚のマンションへと向かった。
いつもだったら、しつこいくらいに詮索メールを送りつけてくるくせに。
昨日に限って、たった一通だけ。
『大丈夫か?』
そのたった一言だけなんて、幼なじみながら本当に厄介な男だと思う。
いつもみたいに、しつこくメールが届いていたのなら、鬱陶しいと邪険に無視を決め込むことも出来るのに。
あんな風に逃げたことを責めもしないで、心配だけしてくるなんて。
これじゃあ、嫌でも無視なんて出来ない。
渚から預かっていたキーを使って、エントランスを通り抜ける。
部屋の前でインターホンを鳴らすと、すぐにドアが開いた。
「ちょっと、渚。絶対、今、ドアスコープもモニターも確認しなかったでしょう!?」
出迎えた渚に向かって、挨拶もせず捲し立てる様に口を切った。