恋愛境界線
それから、二人でリビングへ移動して映画を一緒に観た。
例の、最近Blu-rayで発売されたばかりの、私がずっと観たかった作品を。
二人掛けのソファに二人で並んで映画を観る。
その距離は割と近くて、だけど変に意識することなくちゃんと映画の内容が頭に入ってくる。
お互いに真ん中寄りに座っているせいで、腕がふとした拍子に触れ合った。
「あっ、ごめん……」
慌てて引こうとした私の手に、渚が上から覆う様に自分の手を絡めてくる。幼い頃はよく手を繋いだりしたけれど、大人になってから、しかもこんな風に手を重ねられたことは一度もない。
驚いて渚を見た私に、「眠いから、ちょっと肩貸して」
そう言って、私の許可なんてお構いなしの勢いで肩に寄り掛かってきた。
寄り掛かられた方の腕は依然としてしっかりと握られたまま。
まるで、放したら私が逃げるとでも思っているかの様に。