恋愛境界線
『今度は渚を好きになったら?』
今日、純ちゃんに言われたばかりの言葉が浮かんでくる。
それに対して、
『相手はあの渚だよ?そんな風には見られないよ』
私は、そう答えたばかりだったのに。
強引だし、なにかって言うとすぐに干渉してくるし、渚のそういうところが鬱陶しいと感じていたけれど。
でも、そこにはいつも親身になって面倒をみてくれる優しさがあるってことも、長い付き合いだから、本当は他の誰よりも私が一番よく知っている。
『大丈夫か?』
短いそのたった一言に、十分な優しさを感じた様に――。
だから、曖昧に切り抜けるんじゃなくて、ちゃんと向き合ってみようって
前向きに考えてみようって、渚に対して本当にそう思った。