恋愛境界線
scene.19◆ 望むのはそれだけだから
□□□□□□
「──遥」
フロアに備え付けられている自販機の前で、背後から声を掛けられた。
ボタンを押すと同時に背後を振り向くと、渚が駆け寄ってきた。
「これ、テーブルの上に置きっぱになってた」
ズボンのポケットから取り出した腕時計を、押し付ける様に私に差し出してくる。
時間なんて、PCやスマホで確認出来るものの、それでもやはり腕時計がないことを不便に感じていたから、渚が届けに来てくれたのは素直に有難かった。
「わざわざ有難う」と、私がお礼を言い終える前に、珍しく渚が言葉を被せてきた。
「悪い、急な出張が入ったからすぐ戻らないといけないんだ。今もトイレに行くって言って抜けてきたし」
本当に急いでいるらしく、そう言い終えた渚は既に踵を返している。
「──遥」
フロアに備え付けられている自販機の前で、背後から声を掛けられた。
ボタンを押すと同時に背後を振り向くと、渚が駆け寄ってきた。
「これ、テーブルの上に置きっぱになってた」
ズボンのポケットから取り出した腕時計を、押し付ける様に私に差し出してくる。
時間なんて、PCやスマホで確認出来るものの、それでもやはり腕時計がないことを不便に感じていたから、渚が届けに来てくれたのは素直に有難かった。
「わざわざ有難う」と、私がお礼を言い終える前に、珍しく渚が言葉を被せてきた。
「悪い、急な出張が入ったからすぐ戻らないといけないんだ。今もトイレに行くって言って抜けてきたし」
本当に急いでいるらしく、そう言い終えた渚は既に踵を返している。