恋愛境界線
scene.20◆ どうして欲しい?
□□□□□□
「芹沢君、頼んでおいた資料は?」
「それなら先程、データ化したものを課長宛てにメールで送ってあります」
資料のデータにミスはないか何度も確認したし、ちゃんとパスワードも設定した。
いつも一つくらいはケアレスミスをしてしまうけれど、今日は大丈夫なはず。
「それから、その中の一部のデータについては、共有ファイルにも入れておきました。ちょうど今、その旨のメールを皆に一斉送信しようと思っていたところです」
キーボードに手を載せたまま、顔だけ課長の方を向いてそう告げると、若宮課長は僅かに目を見開いて、私をじっと見つめてきた。
と言っても、僅か1、2秒のことだったと思うけれど、それでも私には随分長い様に感じられた。
「えっと……?他に、何か用件でも?」
嫌味か小言が飛んでくるのを覚悟したものの、課長から返ってきたのは、「今のところはない」の返事だけだった。
「芹沢君、頼んでおいた資料は?」
「それなら先程、データ化したものを課長宛てにメールで送ってあります」
資料のデータにミスはないか何度も確認したし、ちゃんとパスワードも設定した。
いつも一つくらいはケアレスミスをしてしまうけれど、今日は大丈夫なはず。
「それから、その中の一部のデータについては、共有ファイルにも入れておきました。ちょうど今、その旨のメールを皆に一斉送信しようと思っていたところです」
キーボードに手を載せたまま、顔だけ課長の方を向いてそう告げると、若宮課長は僅かに目を見開いて、私をじっと見つめてきた。
と言っても、僅か1、2秒のことだったと思うけれど、それでも私には随分長い様に感じられた。
「えっと……?他に、何か用件でも?」
嫌味か小言が飛んでくるのを覚悟したものの、課長から返ってきたのは、「今のところはない」の返事だけだった。