恋愛境界線

今までは、とにかく片付けなければと、丁寧さよりも迅速さを優先して日々の雑務をこなしていた。


けれど、仕方なくこなしていたことも、気持ちの切り替え一つでケアレスミスは抑えることが出来るようになった。


それを課長が気付いていないはずはなくて、はっきりとした言葉はもらえなくても、見直したとでもいう様な、そんな雰囲気は伝わってくるから、それだけで十分で。


ますます頑張ろうという気持ちにもなれるから、あのまま課長を好きでいるよりも、これで良かったんだ。


課長を好きで、舞い上がったり落ち込んだりして、仕事でミスをしてしまうよりも、今の関係の方が、私の存在を課長にちゃんと認めてもらえている気がするから。


そんなことを考えながら、デスクの上に無造作に置いていたスマホに手を伸ばす。


渚から、話があるから夕飯は外で一緒に食べようというメールが届いていたことを思い出し、返信画面を開く。


妙に改まって一体何の話だろう?なんて疑問に思ったけれど、今はそれを脇に追いやり、『了解。駐車場まで行くから、仕事終わったらメールして』とだけ返した。


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