恋愛境界線
渚がどうするつもりなのか判らなくても、答えは二つしかない。断るか、断らないか、そのどちらかしか。
だけど、渚の口から出たのは、そのどちらでもなくて。
「遥は、どうして欲しい?」
「えっ……、私!?」
「遥が嫌だって言うなら、今回の件は断る。だけど、そうじゃないのなら、この話はこのまま進めてもらう」
「ちょっ、ちょっと、待って!そもそも、そういう言い方はずるいと思うんだけど」
自分の未来に関係する重要なことなのに、それを私の発言一つで決めようとするなんて。
もし、私が嫌だと言ったら、渚は本当に断るのだろうか。
もし、私が渚の好きにすればいいと言ったら、渚は本当に結婚する気なんだろうか。
動揺する私とは対照的に、渚はどこまでも落ち着いていて。
「ずるいと言われようが、俺は遥が俺のこと、どう思ってるのかわかんねーし。いい加減、知りたいんだよ」