恋愛境界線
その辺をぶらつきながら、改めて、どうしようかと考える。
お金は持っているけれど、一人でご飯を食べる気にはなれない。
でも何となくお酒を飲みたい気分で、それなら――と、目の前にあるコンビニに入って、ブドウの缶チューハイを1缶だけ買った。
それを持って、歩道橋がある場所まで移動する。
車のライトで出来た光の川を見下ろしながら、買ったばかりのチューハイをゆっくり、ゆっくりと飲む。
特別綺麗なわけじゃないけれど、緩やかに流れる車の光から目が離せない。
こうしてただ眺めている間くらいは、課長のことも渚のことも考えなくて済むからで。
だけど、何も考えていないはずなのにまた静かに涙が溢れ出し、頬に一筋の跡を作った。
涙を拭おうとした手のひらに、ポツリと水滴が滴り落ちてくる。
一瞬、涙かと思ったそれは、涙じゃなくて雨粒だった。
薄暗い夜空を見上げれば、額や頬にもポツリ、ポツリ、と水滴が滴り落ちてくる。