恋愛境界線
そこから雨脚は一気に強まった。
歩道橋を下りて近くの建物で雨宿りをしようと思ったけれど、突然降り出した雨に私の全身は既にびしょ濡れ状態で、すぐに、もうどうでもいいやという気持ちになってしまった。
どこにも行くところなんてないのに、何をやってるんだろう。
空きっ腹にアルコールが効いたのか、まだ1缶も飲み切っていないのに頭がぼーっとして、顔が火照る。
雨に打たれながら、歩道脇にあったガードパイプに腕を寄り掛からせた。
その間にも雨は容赦なく私を濡らして行く。
だけど、ふいにその雨が唐突に止んだ。
──そう思ったのは気のせいで、周囲を見れば雨は実際にはまだ止んでいなくて。
「芹沢君……?こんな所で何をしているんだ?」
ただ、若宮課長の手によって、私の頭上に雨を遮る傘が差し込まれただけだった。