恋愛境界線

「そう、だったんですか……」


今となっては私にも不要な物だけど、それでも若宮課長が買い与えてくれた時の嬉しさを思い出して、処分されてしまったという事実に寂しさを感じてしまう。


支倉さんの手前、ここにいつまでも置いておくわけにはいかないのだろうけれど。


「それより芹沢君。君、声が少しおかしいみたいだけど、風邪でもひいたんじゃないか?」


「そう言われてみれば、喉が少し痛いです」


自分の喉元に手を当てて、「あーあー」と声を出してみる。


「……あーーーっっ!!!」


「なんだ君は。いくら声の調子を確かめる為とはいえ、突然そんな大声を出して。余計に喉を傷めるじゃないか」


「違います。そうじゃなくて、ふ、ふく」


「不服?」


「それも違います!服です、服!私の服が、またしても……っ」


脱がせられてるんですけど!!


< 442 / 621 >

この作品をシェア

pagetop