恋愛境界線
前回は下着姿だったけれど、さすがに今回は課長の物と思しきパジャマを着せられている。
だけど、それってつまりは着替えを誰かがしてくれたってことで。誰かなんて、ここには当然一人しかいない。
「水の中に飛び込んだみたいにびしょ濡れになってたんだ。着替えさせるのは当然だろう」
そのままだと風邪をひいてしまうし、ベッドだって濡れてしまうじゃないかと言って、若宮課長は呆れ果てた顔をした。
「ってことは、つまり……またしても、見た、んですね?」
「そこは、またしても迷惑を掛てしまったんですね?と言って欲しいところなんだが?」
いくら二度目とはいえ、そして、いくら正当な理由があったとはいえ、なぜ、下着姿を見てしまったというのに、本人を前にしてこんなにもしれっとした態度でいられるのか。
見られたことに対する羞恥の所為か、顔だけじゃなく身体全体が熱い。
そして、興奮した所為か、目もぐるんぐるん回ってきた。
ふらついて後ろに倒れそうになった私を、とっさに若宮課長が腕で支えてくれる。
「やはり風邪をひいたんだな」
少し熱がある――と、私の額に手を当て呟いた。