恋愛境界線
近い近い近い!!!
余りの顔の近さに動揺し、焦って距離を取ろうとしたけれど、動いた途端、身体に力が入らなくてへなへなとその場にへたり込んでしまった。
駄目だ……。またしても頭がぼんやりしてきた。
面倒くさそうにため息を吐き出した若宮課長に、腕を引っ張られて立ち上がる。
「これじゃあ、今日は仕事にならないだろうから、静かに寝ていなさい」
「でも……」
「でも、じゃない。有休消化をするいい機会だと思って、大人しく休んで早く治しなさい」
「あ、有休を使うんですね……?」
「不満でも?こういう時に使わないで、いつ使うと言うんだ?」
間違っても私は、有休をこういう時の為に残しておいたわけじゃないんですけど……。
しかも、昨日の今日だからこそ、仕事をしたかったのに。
仕事をしていれば、忙しさにかまけて余計なことを考えなくて済むから。