恋愛境界線

scene.23◆心配をしたらいけないのか？

□□□□□□


カチャ、という微かな物音で目が覚めた。


目を開ければ視界は暗く染まっていて、一瞬自分がどこにいるのか判らなかった。


少し遅れて、ここは若宮課長のマンションで、自分は熱を出して寝ていたんだと気付く。


一体、今は何時なんだろう？


ぐっすり眠ったお蔭で、今朝の酷い倦怠感は消えている。


ベッドから起き上がろうとした時、部屋のドアがうっすら開いて、その隙間から明るい光が差し込んだ。


「芹沢君、起きてるか……？」


逆光で顔は見えないけれど、囁きかける様な静けさで若宮課長が遠慮がちに声を掛けてくる。


「若宮課長、お帰りなさい。今、何時ですか？」


ベッドから身体を起こすと、「19時を少し過ぎたところだよ」の返事と共に室内の明かりが点いた。