恋愛境界線

「君は病み上がりだし、丸一日何も食べていないのだから、今日はお粥にしておきなさい」


「いえ、栄養をつける為にも、ここはカレーで!!」


食い下がる私に、課長は「それじゃあ、少しだけだからね」と言って立ち上がった。


三日目のカレーという時点で、もう既に美味しさは確約された様なものだし、課長の手作りとくれば美味しくないわけがない。


静かにテンションを上げて待っていると、私の前にスペシャルカレーが置かれた。


「……あの、課長」


「何だ?」


なぜ、お粥にカレーを掛けちゃったんですか?それも、ほんの少しだけ。


これは何かの嫌がらせだろうか?と思いながら、僅かにカレーが掛かったお粥を凝視する。


基本的にカレーは何にでも合うし、もしかしたら、これはこれで美味しいかもしれないと、不満を言う前に一口だけ食べてみる。


途端に、一気に上がった分のテンションがものすごい勢いで急降下した。深山さんと課長の飴と鞭以来の大暴落だ。


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