恋愛境界線
一瞬、渚が何を言っているのか判らなかった。
あの二人というのは、きっと支倉さんと若宮課長のことで。
その二人が、付き合って、ない……?
「遥が休んでた時、そっちの部署に行ったって、さっき話しただろ?その時に、若宮さん本人に直接確かめた」
だからこれは事実だからなと、半信半疑でいる私に念を押してくる。
「それから、あの人、情報システム部の人と関わってるみたいだぞ」
「情報システム部の人と……?それがどうかしたの?」
その問い掛けに関しては、渚は何も言わず軽く肩を竦めて見せただけだった。
「つーか、ここまでお膳立てしてやったんだから、これでまだグダグダ悩んでたら、今度メシ奢らせるからな」
そんなの、今だったら普通に奢るのに。
あんなことがあった後にもかかわらず、心配してくれて、その上、こうしてわざわざ私の背中押す様なことまでしてくれるんだから。