恋愛境界線
scene.26◆手を引いてくれない?
□□□□□□
モニターと課長、交互に見ながらパクパク、と口を動かす。
『……若宮くん?大丈夫?聞こえてる?』
「あ、あぁ……聞こえてるよ。突然どうしたんだ?何か、急ぎの用事でも?悪いが今は体調が良くないから、出来れば日を改めてもらえると助かる」
『そんなことだろうと思って――これ。余計なお世話かと思ったけど色々買ってきたの。ちょっと開けてくれない?』
モニターには、こちらに向かってトートバッグが映し出されている。多分、私がコンビニで調達してきた物と似た様な物が入っているのだろうと思う。
さすがの若宮課長も、自分の為にそこまでしてくれた支倉さんを無下にも出来ず、チラリと私を一瞥した後、すぐに「判った、今開ける」と言って玄関の方へと向かった。
その際に、「君はそのまま静かにしている様に」と、軽く片手で私を制して。
どうやら、課長はドアを開けても支倉さんを室内に招き入れはせず、自分がドアの外に出たらしい。
ドアが閉まる音が聞こえると、室内からは若宮課長の気配は消えてしまい、ドアを隔てた向こう側で二人が何を話しているのか、私には一切判らなかった。
モニターと課長、交互に見ながらパクパク、と口を動かす。
『……若宮くん?大丈夫?聞こえてる?』
「あ、あぁ……聞こえてるよ。突然どうしたんだ?何か、急ぎの用事でも?悪いが今は体調が良くないから、出来れば日を改めてもらえると助かる」
『そんなことだろうと思って――これ。余計なお世話かと思ったけど色々買ってきたの。ちょっと開けてくれない?』
モニターには、こちらに向かってトートバッグが映し出されている。多分、私がコンビニで調達してきた物と似た様な物が入っているのだろうと思う。
さすがの若宮課長も、自分の為にそこまでしてくれた支倉さんを無下にも出来ず、チラリと私を一瞥した後、すぐに「判った、今開ける」と言って玄関の方へと向かった。
その際に、「君はそのまま静かにしている様に」と、軽く片手で私を制して。
どうやら、課長はドアを開けても支倉さんを室内に招き入れはせず、自分がドアの外に出たらしい。
ドアが閉まる音が聞こえると、室内からは若宮課長の気配は消えてしまい、ドアを隔てた向こう側で二人が何を話しているのか、私には一切判らなかった。