恋愛境界線

  * * *


「お疲れさま」


エレベーター待ちをしていたところで声を掛けられ、振り向けば胸元にファイルを抱えた支倉さんが立っていた。


「支倉さん、お疲れさまです。あれ?今日はいつもと雰囲気が違いますね」


普段はスカートのイメージが強い支倉さんだけれど、今日はパンツ姿でキリッとした雰囲気を醸し出している。


戦闘モードというか、キャリアウーマンらしさ全開というか。


「そろそろプロジェクトも大詰めだから、気を引き締めていこうと思って」


私からすれば、支倉さんは改めて気を引き締める必要もないくらい、普段から抜かりなく業務をこなしている様に見える。


むしろ、私の方こそ今まで以上に気合を入れて頑張らなければ、という気持ちになる。


支倉さんに感化され、よしっ、私も頑張ろう!と意気込んだタイミングで、ちょうどエレベーターのドアが開いた。


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