恋愛境界線

そんな毎日に、取り立てて不満があったわけではないけれど、これといって楽しいわけでも、やりがいがあったわけでもない。


興味が持てないから、当然先のことも見えなくて、なんとなく、これから先もただただ、ずっとこんな感じで毎日が続いていくんだろうな、って思っていた。


多分、それは渚やおじさんにも伝わっていたんだと思う。


だから、少しでも私の気持ちを変えたかったのだと思う。


ある日、大きなプロジェクトに携わってみないかと言われ、企画部へと移動になった。


それでも、初めは全然ピンとこなかった。


自分から動こうとしないのだから、そんな状態でどこへ行こうと、何をしても変わるわけがないと、気付くことさえ出来ずに。


「けれど、若宮課長のお蔭で、仕事に対する考え方や姿勢などを、変えることが出来た気がします」


若宮課長と働いている内にやる気が芽生えて、少しずつやりがいと呼べるものも感じてきた。


悔しい思いもしたけれど、そういうのをひっくるめて、やっと楽しいと思える様になった。


地に足を付けて、ちゃんと自分の足で立ってみたいと思う様になった。


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