恋愛境界線
「一人暮らし繋がりです。課長は独り言を言わないですけど、あんな広い所で一人で暮らしている課長を想像したら、独り言を言ってても言ってなくても、こうゾッとしたというか、寂しそうっていうか」
「どちらにしても失礼だな、君は。確かに今の私には広すぎるが、それで不便はない」
「そりゃあ不便はないでしょうけど、不経済じゃないですか?」
元々は支倉さんと一緒に暮らす為のマンションだったのかもしれないけれど、その必要がなくなった時点で引っ越しても良さそうなものだ。心情的にも、経済的にも。
「あぁ、でも、あそこは分譲か……。それなら、ローンがまだ残ってますもんね」
「ローンはないよ」
「えっ!?」
だって、購入した頃の若宮課長は、まだ課長ですらなくて……いや例え課長職に就いていたとしても、収入と支出が見合っていないんじゃないかとか、さっきから思考が余計なお世話の大量生産を止められない。