恋愛境界線
「お給料日前だし、そんな余裕ないですよ!!」
「カプセルホテルなら安く済むし、ネットカフェという手だってあるじゃないか」
部下が困っているっていうのに、カプセルホテル!?ネカフェ!?
血も涙もない鬼め。そこまで言うのなら、こっちにだって考えがあるんだから。
「……本当に良いんですね?あとで、やっぱりもう少し優しくしてやれば良かった、とか思っても遅いんですからね?」
「自慢じゃないが、私は今まで生きていた中で後悔したことは、ただの一度もない」
「そうですか。じゃあ、初の後悔にならないことを祈ります」
そう言った後、スマホをタップしてメールの送信フォルダを開いた。
「休み明けに、社内メールで課長の秘密写真が流出したとしても、後悔なんてしないんですよね。 “馨ちゃん”は」
「一体何のことを言ってるんだ?さっきの画像なら間違いなく消去したし、他に見られて困る画像を君が持っているはずがない」
「甘いですよ、課長」