恋愛境界線
「もう社内恋愛はしないって決めていたのに、そんな気にもなれなかったのに、君が気になって仕方ない」
さっきから課長が何を言っているのか、思考回路がぐちゃぐちゃで上手くまとまらない。
だって、こんなのまるで、告白みたいだ――。
「どう、して……?」
「それは自分でも判らないよ。ただ、君が側に居ると、いつもペースを乱されて落ち着かない。けれど、君が側に居なくなってもやっぱり落ち着かないんだ」
だから、と若宮課長が浅く吐き出した息を、スッと飲み込む。
「だから、一緒に居ても居なくても……どちらでも同じならば、僕は君に側に居て欲しい」
嘘……だ、こんなの。こんなことを言われたら、自分の都合の良い方にしか解釈出来ない。
課長も、私のことを好きなのかもって、自惚れてしまう。
自惚れて、次の瞬間にはきっと夢から醒めるみたいに、きっとすぐにそれとは違う現実が突きつけられるんだ。
「そう……!私がいなくなるって聞いたから、だからですか?」