恋愛境界線
「それならば、一生のお願いだ――これからも、僕の側に居て欲しい」
一生のお願いなんだから、何でも聞いてくれるんだろう?
そう言って、若宮課長はからかう様に私の目を覗き込んでくる。
だけど、私の目からはみっともないくらい、大粒の涙がこぼれ落ちた。
だって、こんなの反則だ。
「卑怯ですよ、こんなことに使うなんて……!」
だって、こんなの、課長の願いじゃなくて、私の願いだ。
「持ってるカードは、最も有効に使うのが鉄則だろう?」
「そっ、それなら、もっと早く使って下さいよ!」
楽しそうに笑っている若宮課長の胸元を、顔は伏せたままの状態でポカポカ叩く。
その間にも涙は頬を伝って地面へと滴り落ち、足元に小さな染みを作った。