恋愛境界線
「パッケージだけじゃなく、スチルも好評みたいですね」
テーブルを挟んで、向かい側にいる若宮課長に話しかける。
こうして若宮課長と向かい合って一緒に夕食を摂るのも、もはや当たり前の日常になりつつある。
「思ったんですけど、次は若宮課長がプロモーションに出演しちゃうのとかどうですか?」
「は?」
「女装した若宮課長ってめちゃくちゃ綺麗だし、《男も美しく咲き誇る》的なキャッチコピーで。インパクトあって良くないですか?」
「ターゲットはM1層ではなく、F1層だということを見失ってないか?」
「じゃあ、M1層をターゲットにしたメンズラインも作っちゃいます?」
半ば冗談、半ば本気で言った私の言葉に、「やる気だけは有り余ってるみたいだね」と課長が笑う。
「ところで、その、君はいつ会社を辞めるつもりなんだ?」
「えっ!?」