恋愛境界線
「ところで芹沢君、君には前科があるんだから、お酒には気を付ける様に」
「四杯目を超えた辺りから危ないって判ってるんで、大丈夫です!」
「あんな失態を曝しておいて、何が、どう、大丈夫なんだか……」
あの時は、プロジェクトメンバーの中で自分は下っ端だからと、接待にばかり気を配っていたのと、勧められる度にちょこちょこ飲んでいた所為もあって、つい自分の許容量を把握し忘れていたのが原因だ。
でも、今日は気を付けて飲んでいるし、第一まだ二杯目だから大丈夫。
そう思っていたのに、空腹の状態でアルコールを摂取したのが拙かったのか、言われた先から、何だか顔が火照って頭がぼんやりしてきた。
そんなぼんやりする頭の片隅で、まだ課長にちゃんとお礼を言ってなかったことを思い出す。
「課長ー、課長ー!」
「何だ突然、大声を出して。もう酔っ払ってるだろ、君」