恋愛境界線
テーブルに突っ伏しながら、「酔っ払ってませんよー」と答える。
顔を上げようとしたけれど、頬に触れるテーブルのひんやりとした冷たさが気持ち良くて。
「……課長ぉ、ありがとうございまふ」
「何が? というか、何を急に……」
だって、課長のあんな写真を撮って脅した私なんて、きっと顔も見たくない存在なはずで。
なのに、私をここに置いてくれただけじゃなくて、ソファベッドまで買ってくれて。
生理的に受け付けないって言ったのに、それでもハムを同じマンションに置いてくれて。
それは仕方なくであって、私のこともハムのことも心から受け入れてくれてるって意味じゃないことは判ってるけど。
それでも、すごく嬉しかった。
課長にはちゃんと伝わってないだろうけど。
「すっごく、すごーく、感謝してるんれすよ」
思ったことを全部言葉にして伝えたいのに、ちゃんと伝わって欲しいのに、頭がぼんやりして上手く喋ることもままならない。