恋愛境界線
PCに向かい続けていたら、いつの間にかとっくにお昼の12時を過ぎていて。
「うー、肩凝った……」
椅子に座ったまま肩に手を当て首を回す。身体が痛いだけじゃなく、お腹も空いた。
ランチに行きたいけれど、あと20分もしない内にデザイン事務所の人が来るから、食事は後回しだ。
まとめたデータを保存し、お手洗いに行って軽くメイクを直した後、パクトケースのデザイン案を受け取る為、デザイナーが待つ二階の個別ブースへと向かった。
来ていたのは、30代半ばくらいに見える蓮井さんという男性で、封筒から取り出したデザイン案を早速見せてもらう。
ケース全体はパールホワイトで光沢があって、右上から左下に掛けて、斜めに大きめのビジューが配置されている。
「可愛いですね。私もそうですけど、女の人ってこういうの好きですし」
「そう仰って頂けて安心しました。若宮さんにも気に入って頂けると良いんですけど……」
その後、このデザインに対する思いまで聞かされてしまい、戸惑いながら「若宮にも伝えておきます」という言葉で会話を締め括った。