隠さず晒して、嫉妬して
本当は
「はい、カーット!!」
海という撮影現場に響くのは髭を生やし、片手に黄色いメガホンを持った監督の声で、その一声で1つのワンシーンが撮り終えられた。
今のシーンを確認するも自分とて、不満な演技をしたわけではないからしっかりと監督からも1発OKをもらい、周りのスタッフや共演者からも良かったと褒め言葉をいただく。
「桐嶋くん、今のシーンすごい良かったぞ!続きのラストもこの調子のまま進めてくれ」
今撮ったものをモニターで確認し終えると、背後から監督の声が降りかかり振り返ればそれは満足気な表情をしていた。
監督に「はい」と返事をして、遂に次の木10ドラマの最終話のラストシーンを撮るため、目を瞑ってもう1度役を自分の中に取り込む。
次、目を開けば俺はこのドラマの主人公の安西だ。
「ラストシーンいきまーす!5秒前!4、3__」
__2
__1
そうして、ゆっくりと目を開いた。
< 1 / 9 >