さっきはごめん。
「あたし、帰りますね。お疲れ様でした」
「あ、先輩お疲れ様です」
あたし達の関係は会社の誰も知らない。
だから仕方ないにしても、あたし以外の女に唇を許すなんて信じられない。
もっと強く拒否してよ。
あたしの名前は出さなくても、彼女がいる、付き合ってる人がいるからやめて欲しいくらい言ってよ。
なんで、そんなあっさり…。
あたしは会社を飛び出して真っ直ぐ家に帰っては、スマホを見つめて凹んでいる。
「さっきはごめん、あれは違うんだ……くらいの言い訳もないわけ?」
彼からの連絡は1つもない。
まさか、後輩と食事に行った?もしかしてその先も?
頭の中に最悪な妄想だけが繰り広げられる。