七色の魔法使い#6~凛とした花に想いを~
なんてことを呟いてみる。確か、あの時もそう呟いた記憶があるんだ。

もうすぐで、皆と出会って1年になるんだな……。

「……」

辺りを見渡して、深く息を吐いた。吐いた息は、白くなって空気に溶け込むように消えてく。

「冬都……」

誰かに声をかけられて、僕は声がした方を見た。そこには、凛兄がいる。

「……どうしたんだ?そんな所で立ち止まって……」

「……僕は、1年前……ここで魔導書を拾った。魔導書を開いたら、魔導書に吸い込まれて……その先は、フォルトゥナだった……」

僕は、皆と出会った時の話をした。

「僕……ここで魔導書を拾わなかったら、皆と出会ってなかったら……ここまで変われなかった」

「……そうだな。確かに、冬都は変わった。前よりも感情が豊かになった」

凛兄は、そう言って笑うと僕の頭を撫でる。

「……」

僕は地面に視線を落とすと、凛兄から視線を逸らした。

「……俺は、もう誰も失いたくない。だから、冬都は俺が守る。それだけ、冬都は俺の大切な人なんだ……」

「……僕は、凛兄にとって要らない存在なんじゃないの?」

凛兄に目を移すと、凛兄は驚いた顔を見せるけどすぐに微笑む。

「違う……俺は、お前のことを一度も要らない存在だ、って思ったことはない」
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