七色の魔法使い#6~凛とした花に想いを~
「……」

その時、凛兄が空を見上げた。僕も空を見上げると、空では大きな妖魔が飛んでる。

「……っ!」

妖魔は、僕らに気が付くと急降下して僕らの目の前に着地した。

『……ほう。お前が、ユキヤの生まれ変わりか……弱そうだ』

「……」

僕は、妖魔を見据える。その時、妖魔は素早い動きで凛兄を捕らえた。そして、妖魔は空を飛びながら僕を見つめる。

「凛兄……っ!」

『ふふっ……こいつは、預かった。返して欲しければ、1人で魔王城まで来るんだな』

そう言って、妖魔は飛び去っていった。僕は妖魔を追いかけようとするけど、妖魔の方が速くてすぐに見失ってしまった。

「……確か、1人で魔王城に来いって言ってたな……」

そう呟いて、たまたま見つけた赤い花の髪飾りを拾う。

これは、凛兄がいつも付けてる髪飾り……。

僕は髪飾りを握り締めて、空を睨んだ。

「……絶対に許さない」



「……ここが魔王城……」

フォルトゥナにある黒い壁の城を、僕は正門前から見上げた。空は城のある場所だけ黒い雲で覆われている。

僕は両手で扉を開いて、中に入った。中では、沢山の妖魔が走り回っている。

……あれ?この妖魔たち、攻撃してこない……。
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