七色の魔法使い#6~凛とした花に想いを~
剣を消して、僕に向かってアイビーは微笑む。

「……そうだ。凛兄は……っ!」

凛兄の方に体を向けると、既に大智が魔法で治療をしていた。

「……凛都さんは大丈夫。だから、そんなに心配しなくても大丈夫だよ」

僕を見た大智は、そう言って優しく微笑む。

「……っ」

その時、凛兄は目を覚ました。

「凛兄……」

僕が凛兄に近づくと、凛兄はぼんやりと僕を見つめる。

「……」

しばらく無言で僕を見つめた凛兄は、立ち上がって僕に抱きついた。

「……え?」

「ありがとう……助けに来てくれて」

僕から離れて、凛兄は微笑む。その笑顔を見て、僕も微笑んだ。

「……そうだ。これ……」

僕は、凛兄に髪飾りを渡す。凛兄は「ありがとう」と髪飾りを受け取って、髪飾りを髪に付けた。

「この髪飾り、俺が作ったんだけど……何の花か分かるか?」

凛兄は、そう言って僕を見つめる。

「……見たところ、ゼラニウム……ですか?」

「良く知ってるな」

アイビーの言葉に、凛兄は頷いてから微笑んだ。

「……ソラ、花に詳しくて……色々教えてくれたんだ」

「そうか……赤いゼラニウムの花言葉は『君がいて幸せ』」

凛兄は僕を見ると、見たことがないほど眩しい笑顔を浮かべた。
< 9 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop