廓の華
次の瞬間、畳の上に押し倒された。呼吸をする間もなく唇を奪われ、口づけの雨が降る。秘めていた欲情が溢れ出て、お互い夢中で求めあった。
気づかないうちに帯が解かれ、白い肌が空気に触れる。人肌は、並んで寝たときよりずっと熱くて、比べられないほど恥ずかしい。
感情を凍てつかせて身体を許していた夜とは違う。久遠さまの指の動き全てに神経が向いて、攻められるほど敏感になった。
柔らかな胸をもてあそび、そっと唇を寄せられる。熱い舌が動くたびに体の奥が疼いた。弱いところを探り当てられ、気持ちよくて思考が働かない。こんな幸せな夜は初めて。
決して自分からは手を出さなかった彼が、私に触れている。一線を越える日は来ないと思っていた。
普段は冷静で風のように穏やかな男の人が、くらくらするほどの色気を漂わせて本能を剥き出しにしている。ひたすら相手を感じることに没頭して、身体を重ねている。
でも、そこにはたしかな愛情があり、温かな腕が安心感を与えてくれた。