王女ちゃんの執事1『で・eye』加藤さん、きれいです。
 いいのか、それで? 
 …とか思っちゃったわけだ。
 だからって、それじゃどうするの? 
 …が思いつけないから。
 ガイコツマンだって、ついにしびれを切らしちゃったわけで。

「うーん」

 自分のしたいことがわからないなんて、おれってバカ?
 したいことがないから、どこか入れる大学に入って、また4年間考える?
「…………」
 4年後の自分が見えるのが、マジいやだ。
 そのくらいにはおれだって自分のことはわかっている。

 だからもう、クラブ活動に燃えちゃってるような子が、憎らしくてたまらないんですが、それって人間失格?


 あちこちから誰かの食っているものの匂いが漂ってくる、昼休み独特の空気をついクンクンかぎながら、脚はだらだらとガイコツマンのいる英語課教員室に向かっている。
 タイムリミットは放課後なんだけど――。
 勝手に空欄に戻した第1志望に、親の決めた学校名をおとなしく書きこみますか、おれ! …な戦いは、どうにも1回じゃ終わらない気がして、まずは第1ラウンド。

 それなのにエレベーターの待ちボタンを押したとたん、こんなときに最もむかつく人種が、おれの人生への戦意をそいでくれた。
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