君の想いは僕のもの。
月がいきなりそう言って、走っていった。
「ちょ、月〜!?」
名前を呼んでみるもきっと聞こえていない。
「あーあ、いっちゃった」
奏ちゃんが手を望遠鏡みたいにして月を目で追いかけた。
「あ、春ちゃんと合流したよ」
「はぁ……。月ってほんと春ちゃんのこと好きだよね〜」
わたしは、呆れながらそう言った。
「まあ、春ちゃんも嬉しそうだしいいんじゃない?」
「そっか。ならいっか!」
「いやいや、良くないからね?」
莉華にツッコミを入れられた。
「あはは……」
「うぎゃああああああああああ!!!!!」
いきなり、月が向かった方向から叫び声が聞こえた。
「え!?なに!?」
莉華が大きな声にびっくりしたみたいで、奏ちゃんにしがみついた。
「ねえゆきりん、この声って……」
「うん……。月の叫び声……だよね……」
(もしかして……!)