君の想いは僕のもの。
季節は夏本番に近づいていた。
“ガラッ”
「ねえ、姉ちゃん今日ネクタイどっちがいいと思う?」
いきなり月がわたしの部屋に入ってきて、黒のネクタイと青のネクタイどちらがいいかを聞いてきた。
「んー?くろー……」
「わかった!てか、そろそろ起きないと星汰兄くるぞ?」
「うん……。わかってるよ……」
時間なのは分かっていても、いざとなるとなぜか布団から出られない。
「あ!星汰兄!おはよ!」
どうやら、もうせいちゃんが来てしまったらしい。
「おきて、有季」
せいちゃんに優しい声で名前を呼ばれる。
「あと5分だけ……」
「早く起きないとその可愛い顔にキスしちゃうけど」
わたしが二度寝を始めようとした途端に朝から心臓が壊れそうな言葉を耳元で囁かれた。