君の想いは僕のもの。
そうして、楽器の練習をする時間が始まった。
「せいちゃん!ここでさクレシェンドいれようと思うんだけどどうかな?」
(ここは、ゆっくりにしてもいい気がするしな…。)
「んー、クレシェンドね。いいと思うよ」
せいちゃんに認めてもらえると、無性に嬉しくなる。
「じゃあ、だんだん遅くしながらクレシェンドはどうかな?」
ついでに、他の場所の事も聞いてみることにした。
「うん。いい感じになると思うけど……。色んなの試してみた方がいいんじゃないかな」
自分の練習の手を止めてまで、しっかりとわたしの相談に乗ってくれている。
「ありがと!」
「どういたしまして」
そう言って、せいちゃんはまたピアノの練習を再開した。
「せいちゃんのピアノ好きだな〜」
「ん?なんかいった?」
「え?」
無意識にわたしの口から溢れ出てしまっていたらしい。
わたしのぽかんとした様子にせいちゃんは、不思議そうな表情を浮かべていた。
「あは、あはははっ」
わたしは笑って誤魔化すしか出来ずに、その場を乗り切ろうとした。