狼男


「・・・出所したら・・
死のうと思ってました・・。」


「・・・・・・・・・・。」


「シンジ君がいない世界に私が生きる意味は無い・・。

刑務所で過ごしてる間・・ずっと・・どうやって死のうか考えていました・・。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「出所の日・・・看守の人から・・・“捜査1課の玉置刑事からだ”って渡されて・・

・・思い出させてくれました。

手首を切って死ぬ予定は・・
消えて無くなりました・・。」


「・・・・・・・・・・・・・。」


「玉置さんが・・シンジ君の指輪を届けてくれたおかげで・・

例え・・何度クビになっても・・
何度転職を余儀なくされても・・

どれだけお金に困っても・・
生きて・・生きて生きて・・

シンジ君がいなくなった世界で、

【絶対に幸せを見つけてやる】って・・
思えるようになりました・・。」


「そうでしたか・・・・。
それが聞けて安心しました。」


「まるい探偵事務所に拾われて、

出所して以来・・初めてご飯を一緒に食べてくれる人が見つかりました。

テレビ番組を一緒に見て・・私が知らない韓流ドラマの話を教えてくれて・・

未知の領域だった激辛の世界を教えてくれて・・。」


「・・・・・・・・・。」


「口は悪いけど、いつもお土産を買ってきてくれる上司も出来て・・

まだ・・“だからなに?”って言われちゃうかもしれないけど・・でも・・

今の私の居場所がようやく見つかった気がしています・・。」




「・・では・・・今度は俺も・・小松さんのコミュニティの中に加えさせてください。」


「え・・・・・・・。」


「あなたは罰を受け罪を償った。

だから“刑事と被疑者”の関係はもう終わりです。

だから次は・・“友人”として・・
あなたに会いに行きます。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「・・あ・・よろしかったですか・・?」


「・・スッ・・スッ・・はい・・・・!」



















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