狼男
「中へどうぞ。」
「あ・・失礼します。」
予想通り扉の向こうはカッチリした雰囲気の部屋で、
2人掛け,4人掛けテーブルがそれぞれ1つずつ配置されていた。
「緑茶とコーヒーと紅茶、
どれが良いですか?」
「あ・・いえお構いなく・・
ありがとうございます。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・?」
「オレンジジュースとコーラとサイダー、
どれが良いですか?」
「あ・・3品とも気に入らなかったわけではなくて・・飲み物は大丈夫です・・。」
「・・・少々お待ち下さい。」
女の人が一度退室して、
シンとした空気が流れる。
きっと・・あの人が今朝、電話口に出た人。
・・他は誰もいないのかな・・?
“探偵事務所”だから他にも何人かスタッフがいるようなイメージだったけど、
もしかしたら小学1年生の眼鏡男子と、空手をやってそうな女子高生もいるかもと思ったけど、
“雰囲気”としては、今この事務所には私とあの人しか居なさそう・・。