狼男
とにかく、校門へとまた歩・・
“ブー ブー”
「・・ん?」
ポケットのスマホがまた振動した。
鮫島さん・・?
「・・・じゃない。」
液晶画面には“090”から始まる電話番号が表示されている。
電話帳に登録されていない番号だった。
「・・はい。刑事部捜査1課 玉置です。」
<・・・・お久しぶりですねユウマ君。>
・・・・・え・・・・・?
「!!!?」
<突然のお電話すみません。>
「その声は【椿 刑事部長】ですか?」
<はい。>
俺が所属する神奈川県警 刑事部 捜査1課。
俺や山田のような下っ端の上に鮫島班長がいて、鮫島さんの上に1課長がいる・・。
でも・・そこを飛び越えてまさかの刑事部長・・!?
<聞き込みの最中にすみません。
今お一人ですか?>
「はい。被害者の人間関係から容疑者を探っている所で、
少しずつですが何か掴めそうな予感がしています。」
<鮫島くんや山田くんは近くに居ませんね?>
「あ、はい。今は鮫島さん達と二手に分かれています。」
<君が一人になるタイミングを見計らっていました。>
「・・・?・・・というと・・?」
<申し訳ありませんがすぐに県警へ戻ってきてください。
但し、鮫島くんへは報告しなくて大丈夫です。
誰にも言わずに私の部屋までお越しください。>
・・・どういう事だ???
「椿 刑事部長・・
お言葉ですが理由は何でしょうか?」
<“火急の用件”とだけ。というより、“刑事部長の命令”とでも言っておきましょう。>
「・・・・・・・・・。」
<詳細は直接話します。
来て頂けますねユウマくん?>
「・・・・分かりました。
すぐに向かいます。」