狼男



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到着したラブホテルのロビー。


至る所に一人用の椅子や、ネットカフェのように囲われている2人用ボックスがあったけど、

私は入り口や受付やエレベーターを見渡せるコの字型のソファの一角へ腰を下ろした。


・・・かなり恥ずかしいけど、
コートも脱いでスマホを取り出す。



「・・椿さん。着きました。」


喋っているのがバレないようマスクもしてきた。

イヤホンを付けた通信用のスマホに向かって小声で喋る。


<ターゲットの男、不倫女の顔写真は撮影用のスマホに送っておきました。

LINEを起動して目に焼き付けてください。>


「分かりました。」


<今日までの調査から推測すると、

“昼”と“夕方”と“深夜”、この3つの時間帯のどこかに現れる可能性があります。>


「お昼休みと定時終わりと飲み会帰り・・?」


<勤務中の時間であっても不倫女と一緒に“出張”と偽って、

お昼休み前後によく連れ立って外出するそうなので、

いきなり現れてくれると良いですけどね。>


「・・・・・・・・・・・。」

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