狼男
「・・・・撮れました。」
<何号室ですか?>
「804号室です。」
<初めてにしては上出来じゃないですか?>
「・・・心臓バクバクです・・・。」
<10分以内にターゲットが来るはずなので、そのまま死角で待機しててください。>
「分かりました。」
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・・・!?
1Fまで降りていたエレベーターのランプが2・・3・・・上がってくる。
「椿さん・・来ました・・!」
<より慎重にお願いします。
不倫女はともかく、この男はかなりの警戒心の持ち主ですから。>
さっきとはまた違った緊張感が全身を包む。
・・もれなく手は震えている・・・。
もれなく・・手汗がひどい・・・。
“ブオーーン”
エレベーターが開く音・・・ヒール程の音では無いけど革靴?が歩く音・・
体はエレベーターの後ろに隠れたまま、カメラのレンズ部分だけそっと出して・・
「・・・・・・・。」
804号室の扉を開けようとするターゲットの男の姿を撮・・・
“パンッ!”
!!?
しまっ・・!!!!!!
「ん?」
スマホが・・手から滑り落ちてしまった!!