狼男
「誰かいるのか?」
足音がこっちに向かってくる・・!
姿はまだ見られてないけどでも・・スマホが確実に相手の視界に入ってる・・!!
せっかく・・貰えた仕事なのに・・・
せっかく・・採用して貰えたのに・・。
<小松さん。>
!?椿さん・・!
足音が刻一刻と近づいてくる中、小声ですら返事が出来なくてパニック状態で口を覆う。
<お待たせしました。あとはキョウスケに合わせてください。>
・・・?・・キョウスケ・・??
“ブオーーン”
「キララ~!間違えた7階だった~!
・・・・あれ?キララ?」
エレベーターが開く音がまたしたと思ったら・・男の人の声・・?
「お!あんた、ウチの店の女見なかった?阿呆みたいなニット着てるボンキュッボン!」
「いや・・見てないですけど・・。」
「おっかしいなぁ。キララ~?」
本能が悟った。
ターゲットと話す男の人・・。
“キララ”って多分・・
私の事を呼んでる・・!
床に落ちたスマホを拾いながら、
不機嫌そうな顔を作って姿を見せる。
でもどうやらターゲットの男はこっちに背を向けて、
そそくさと804号室へ再び向かっている様子だった。
「・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・。」
だから目が合ったのは・・すぐそこに立っていたのは・・スーツ姿の見知らぬ男性・・。
黒のネクタイをして、
ダークブラウンの髪を携えた・・
・・・・・シンジ君と・・・
・・同じぐらいの歳の男の人・・・。
「・・・・このド阿呆・・・。」
「あなたは・・・・?」
「話は後だ。行くぞ。」
訳が分からないまま・・
803号室へと連れて行かれた・・。
第2話 完