狼男
「抜刀してみてください。」
言われた通り、柄を持って刀身を抜くと・・確かに刃引きされていない・・
磨き上げられた正真正銘の“刃”が視界に映る。
「これは、私がとある鍛冶屋と共同して制作した特殊な刀です。
警棒の要領で強く振ってみてください。」
警棒・・・?まさか・・・?
俺も席を立ち上がり言われた通・・!!?
「・・・何ですか・・これは・・?」
・・刀身部分が伸びた・・・。
“小刀”だった物が一気に・・
立派な“刀”と同じサイズになる。
「微妙な掛け違いの技術で、
刃が伸び縮みする仕組みです。
その為、“繋ぎ目”がある事がやや弱点ですが強度は確かな物です。
これなら傍から見たら誰にも“刀を所持している”と思われないでしょう?
警棒と同じように腰部分に隠して携帯して、
いざとなった時に使ってください。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「どうされましたか?」
「何故・・こんな物を用意していたんですか・・?」
「・・・・・・・・・・・・。」
「椿刑事部長。お言葉ですが、さっきから何か【核心部分】を隠されていませんか・・?
俺に“犯人を殺せ”と命じるのも、こんな秘密兵器みたいな武器を用意していたのも。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「今回の連続猟奇殺人・・椿刑事部長には何か思うところがあるんですか・・?
まさかとは思いますが・・
このような事が起きるのは【あらかじめ想定】していたんですか・・?」
「さすが捜査1課一の有望株ですね。
射撃術、剣術・・それだけでなく、
洞察力も兼ね備えている。」
「・・・・・・・・・・・。」
「ですが、今この段階で全てをお話するわけにはいかない。
“論より証拠”、“百聞は一見にしかず”。来たるべき時が来たらまたここへお越しください。
君に対しては365日24時間、
この部屋への入室許可を出します。」