狼男
「どのような“怒り”を覚えたんですか?」
「・・・・・・・・・・。」
「どのような“哀しみ”を覚えたんですか?」
「・・やめて・・ください・・・。」
「殺した時、どうでしたか?」
「やめてください!!!!」
店内に響く大声を出してしまった後悔よりも・・
激辛料理を食べて額から吹き出す汗よりも・・・
他人からその名前を聞かされただけで・・いつの間にか視界が滲んでいた・・。
「小松さん。勘違いしないでください。」
「・・!!」
「私はあなたが好きですよ。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「“泣いて”、“叫んで”、“怒って”、
普通の人間ならそこで終わるのに、
でもあなたはちゃんと【復讐】した。
小松さんみたいな人間に会うの・・
初めてだから。」
「・・・・スッ・・・・。」
「憶測だけで新聞記事を書かれ、
確認もしないで噂を広められ、
あなたの話を誰もまともに受け止めずに、
“殺人犯 小松アンナ”に恐怖を感じて去って行った。」
「・・・・スッ・・・・スッ・・・。」
「刑務所生活の話もすごく興味がありますが、でもまずは・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「あなたの“恋人”だった人の事、
その右手薬指についてる“指輪”の事、
あらゆるネット媒体をハッキングしても分からないあなたの【想い出・記憶】・・
イヤなら私が最近ハマってる韓流ドラマの話題に変えるけど、
話したくなったらいつでも話してください。」
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