狼男



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池田家に到着した瞬間、
脈打つ心臓の鼓動が速くなり、

気付いた時には車から飛び出していた。


もぬけの殻になっている鮫島さん達の車。

“こじ開けて突入した”痕の残る玄関扉。



・・・・そこに足を踏み入れた瞬間に嗅覚が捉えた・・“血”の匂い・・。


「鮫島さん!!山田!!
どこダ・・・!!?」


・・・なんだよこれ・・
・・・・・・・・なんだよ!!



リビングと思われる拓けた部屋に入った瞬間、

血まみれでピクリとも動かない子供の隣で・・

目を見開いたまま絶命している鮫島さんの姿を捉えた。



「・・ウゥゥ・・スッ・・鮫島さん・・!!」


“現場保存”は第一に刑事がやらなければいけない事。

でもそんな理性は吹っ飛んで、もう動くはずが無いと分かっている鮫島さんの体を抱く。



「なに・・!?」
「すぐに救急車!!」

「鮫島班長!!鮫島さ・・!!」


遅れてやってきたこちらのメンバーの怒号が飛び交う。


涙と嗚咽を堪えながら・・
必死に山田を探す。


「山田・・・山田・・!!」


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