狼男
――――――
5月も終わりに近づく頃。
外回りから戻ってくると、何やら営業部フロアにちょっとした輪が出来て盛り上がっていた。
「お疲れ様っす!」
「おぉ上原。お帰り。」
「どうしたんですか?」
輪の中の一人の先輩に声を掛けると、
それよりも先に輪の中心にいた後輩が鼻息荒く俺を見る。
「上原さん!経理部に来た新人!
めちゃくちゃ可愛いっす!!」
「マジ?見たの?」
「はい!さっき経費精算行った時にチラッと!
恵子ママから教育受けてたっぽいので、
多分上原さんの担当っすよ!」
「マジか・・・・。」
「しかも・・めっちゃおっぱい大きかったです!かぁ~~羨ましい~!」
途端に、“経理と合コンやろうぜ!”という声で輪が盛り上がる。
・・・・と、とりあえず・・
「やりましょー!」
「「「おぉ~!!」」」
そんな破廉恥な会合絶対俺は緊張してムリムリムリ!だったけど、
ひとまず場の空気に合わせる。