狼男


―――――― 


一週間後!

今日であの土砂降り告白から364日が経過!


ラグジュエリー屋さんで指輪を受け取った後、

まだネタバレはしたくないけど我慢できずに声だけ聞きたくなったので、

アンナに電話を掛けちゃう!(*´ェ`*)





<もしもし~?>


「もう家?」


<うん!!シンジ君は?>


「うん今、会社出たところ。」


<どうしたの?>


「明日さ・・ほら・・あれじゃん。」


<うん・・!!>


「あ・・ごめん。その確認だけ!」


<なにそれ!!>


「じゃあ18時に迎え行くね!」


<うん!!楽しみにしてるっ!!>



付き合う前は息を吐くようにとんでもない下ネタもぶっ込んでたのに・・

こういう時、気の利いた言葉を言えないのが情けない(T^T)


よし・・・・・!



「アンナ。」


<・・?>


「もし明日・・恵子ママがポックリ逝っても俺はアンナを優先する。」


恵子ママ・・ウルトラ不謹慎な事言ってごめんよ・・(T^T)


<でもそう言っても、きっとシンジ君は恵子さんの所に走って行くと思うなぁ。>


「じゃあ、体は恵子ママの所に行って、
気持ちはアンナの所に置いてくる!!」


<なにそれ!?怖いんだけど!!>


「・・・・・・・・・・・・・。」


<・・どうしたの?>


「・・・やっぱり我慢できない・・。」


<・・??>


「今から会いに行っていい?」


<え!?でも・・もうメイクも落としちゃったし・・。>


「いやいやスッピンなら何回も見てるじゃん!」


<いやいやそういう問題じゃないでしょ!!>


「会いたい・・!フライングだけど会って渡したい物がある!!」


<・・分かった!!じゃあ待ってるねっ!!>




毎日会社で見かけるけど、
週末は大体一緒に居るけど、

この1年でたくさん思い出が出来たけど、
明日もこの先もずっと・・・・だけど!




「ハァハァ・・ハァハァ・・!!」


アンナの顔が見たいだけで、指輪を大事にしまった鞄を持って街を駆け抜けた。

アンナを笑顔にしたいだけで、今日はお得意さん相手だったからヨレヨレのスーツだけど、

会って・・声の側にいたくて・・
今すぐに走り出す・・アンナの側へ!!




「ハァハァ・・ハァハァ・・!!」



あっという間に地下鉄へと続く階段が見えてくる。


さすがに下り階段は危ないからちょっとスピードを緩めて・・

うん・・ここで足を滑らせてガタガタッ!と転げ落ちるのが今までの俺のオチだけど、


というかこんな所で転んだら“オチ”どころか洒落にならないので、

急いでる時こそ慎重に手すりを掴・・




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